月の満ち欠け―上弦の月と下弦の月―
月の満ち欠け
―上弦の月と下弦の月―[暦]
「太陰太陽暦」は、地球の衛星である「月」がどのように見えるか(満ち欠けの状態)によって日付(何日か)を決めています(つまり、日付の決め方は太陰暦法です)。
また、月々の第一日(ついたち)は「朔(さく)」(新月)となる時刻を含む日を朔(ついたち)としていますが、それ以外にも「上弦」(「上弦の月」の時刻を含む日)・「望」(「満月」の時刻を含む日)・「下弦」(「下弦の月」の時刻を含む日)も表示しています。
月の満ち欠けは、途中(三日月など)を省きますが、新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月と変遷することは知ってはいるのですが、どちらも半月である「上弦の月」と「下弦の月」が実際にどう違うのかを知らなかったので、調べてみました(知ってる方はスルーしてください)。
半月を弓に見立てて明暗の境目の線を「弓の弦(つる)」とし、上向きを「上弦」、下向きを「下弦」というのだろうくらいに高をくくっていたのですが、そんな曖昧な理解では半月を見ても判別できませんでした。
次図は地球の公転面を北極側から見た概念図です。太陽の光線は上側からが注いでいるとして描いてあります。
月の満ち欠け図
北極側から見て地球は反時計周りに(つまり西から東へと)自転しています。すなわち、天球は東から西へと回転しています。
朝・昼・夕・夜と記されている矢印は、その時刻に「南中」(天体が子午線上に来る)月が見えることを示しています。つまり、矢印の先にあるのは南中時刻に見える月の形を表しています。
「朔(さく)」の月は昼に南中します。すなわち、朝に昇り夕に没します(新月なので日蝕の時以外見えません)。
「上弦」の月は夕に南中します。すなわち、昼に昇り夜に没します。
「望」(満月)の月は夜に南中します。すなわち、夕に昇り朝に没します。
「下弦」の月は朝に南中します。すなわち、夜に昇り昼に没します。
上弦の月と下弦の月の違いをまとめてみます。
昼に東から昇り、夕方に南中して、夜に西に没するのが上弦の月です。
夜に東から昇り、朝方に南中して、昼に西に没するのが下弦の月です。
月は天空が暗い方がよく見えることを考慮すれば、夕方から深夜にかけて西に没していくのが上元の月で、深夜から朝方にかけて東から昇ってくるのが下弦の月と言えるでしょう。
時刻だけでみれば、夕方から深夜に見えるのが上弦の月で、深夜から朝方に見えるのが下弦の月です。
方角だけで見れば、西に没するのが上弦の月で、東から昇るのが下弦の月です。
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