科学

2020年4月12日 (日)

台湾主導の研究チーム、新型コロナ治療の鍵となる抗体を発見―25株のなかの1株には人体へのウイルス侵入を抑制できる可能性―

台湾主導の研究チーム、新型コロナ治療の鍵となる抗体を発見

―25株のなかの1株には人体へのウイルス侵入を抑制できる可能性[現代][科学]

 台湾の国営通信社である中央通訊社(中央通信社、The Central News AgencyCNA))のWeb Siteフォーカス台湾モバイルの記事からの転載です。

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台湾主導の研究チーム、新型コロナ治療の鍵となる抗体を発見
【経済】 2020/04/09 11:51(台北中央社)
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 台湾主導の共同研究チームが、新型コロナウイルスに対抗するために人体の免疫システムによって作り出された25株のヒト化モノクローナル抗体を発見した。最速30分で感染の有無を判別できる迅速検査キットの開発につながるほか、このうちの1株には人体へのウイルス侵入を抑制できる可能性があり、新たな予防、治療手段となることが期待される。

 モノクローナル抗体は、単一のB細胞(免疫細胞)から作り出される抗体で、体内の異物を特定して攻撃できる性質を持つ。長庚大学、長庚医院、中央研究院、国防部予防医学研究所、英オックスフォード大学からなる研究チームが2カ月半かけて、世界各地から台湾に戻った感染者から採取した検体から22種の新型コロナウイルスを分離し、全ゲノム情報を入手した。

 研究に携わった林口長庚医院児童感染科の黄冠穎医師によれば、25株の抗体は、患者3人から発見されたもので、このうちの13株はスパイク(S)タンパク質と呼ばれる独自の機能を持つウイルスのタンパク質を攻撃することが確認された。

 さらにこの中の1株は、細胞表面の受容体ACE2と結合することが明らかになったという。長庚大学新興ウイルス感染研究センターの施信如教授は、ウイルスはACE2と結合しなければ細胞に侵入できず、抗体がウイルスと争って勝てばウイルスの侵入を防げる可能性があると説明。人体で作られた抗体は動物由来のものより安全だと強調し、今後、有効性が確認できれば治療や予防にも活用できると期待を示した。

(陳偉テイ/編集:塚越西穂) 

2020年4月11日 (土)

国産「武漢肺炎ウィルス」検出試薬キット発売!―島津製作所 4月20日に発売―

国産「武漢肺炎ウィルス」検出試薬キット発売!

島津製作所 4月20日に発売[現代][科学]

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島津製作所は、4月20日にかねてより開発を進めていた「新型コロナウイルス検出試薬キット」を発売いたします。当面は国内のみの販売となりますが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めてまいります。

現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要です。これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになってきました。本キットの使用によってRNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できます。96検体用PCR装置を用いて、96検体を検査した場合でも1時間半以内で行えます。また、手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながります。

「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、当社独自のAmpdirect技術※1 をベースに国立感染症研究所のマニュアル※2 に沿って開発しました。同技術は「生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できる」というものです。島津製作所は、これまでにAmpdirect技術を用いて、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売しており、ここで培った技術を応用して新型コロナウイルス検出試薬の開発を行いました。

※1 Ampdirectは島津製作所の登録商標です。

※2 国立感染症研究所 「病原体検出マニュアル 2019-nCoV」。(島津製作所のサイトより転載)
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 島津製作所が開発し発売するこの検査キットは、遺伝子増幅法(PCR法)により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を定性的に検出する試薬です。

 特長は、鼻咽頭拭い液などの試料をRNAを精製することなく簡単な前処理だけで使用できる簡便」性と、RNA精製を不要にするAmpdirect Technologyを応用し、新型コロナウィルスのPCR検出時間を前処理(加熱)、反応/検出で約70分に短縮した(特許出願中)「迅速」性。(島津製作所のサイト2019新型コロナウイルス検出試薬キットより、私が要約)

以下、同サイトのスクリーンショットです。拡大できます(詳しく知りたい方は上記リンクからどうぞ)。
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《参考》感度(Sensitivity)」と「特異度(Specificity)」(病気を診断する際の尺度用語)

表は検査結果の陽性・陰性と疾患の有無を対比したもの
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「感度」は、疾患のある人のうち検査結果が陽性となった人の割合(真陽性率) a/(a+c)
「特異度」は、疾患のない人のうち検査結果が陰性となった人の割合(真陰性率) d/(b+d)

 

 余談ですが、朝日新聞東京編集部コブク部のツイートに対する第一返信が次のもので、他国(例えば、かの半島のかの国)製のキットのカタログなどにこの方の言う「実数人の手であれやこれやする〔実時間数〕)」とやらが出ているのか、と言い返せるただの難癖である。この新聞の読者の傾向が出ていて笑えます(引用文の下線強調はわたしによるもの)。偏見による主観を言えば「悔しさがにじみ出ている」。
1時間と簡単に言うけれど
人の手であれやこれやする訳だから実数も出すべきかと
1時間がひとり歩きして現場に不要なクレームが増えそう
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以下は、日本経済新聞のサイトの報道記事(転載)です。
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島津製作所、1時間で新型コロナ検査 キットを20日発売

新型コロナ ヘルスケア 関西 京都
2020/4/10 15:00

島津製作所の検査キットは手元にある検体から約1時間で新型コロナウイルスの有無を判定できる

島津製作所は10日、新型コロナウイルス向けの検査キットを20日に発売すると発表した。ノロウイルスなどの病原体検出技術を応用し、不純物を取り除くことなくウイルスを検出できる。手元にある検体から約1時間でウイルスの有無を判定し、検査時間を短縮できる。

20日に医療機関や検査受託会社向けに発売し、海外への輸出も検討する。厚生労働省は10日、同製品が保険適用の対象になると同社に通知した。価格は100検体分で税抜き22万5千円。島津は本社工場で月10万検体分を生産する見込みだ。

新型コロナの感染検査では鼻や喉から拭った検体から、タンパク質など遺伝子を増幅するための反応を阻害する不純物を取り除く必要がある。島津がノロウイルス向けで活用してきた「アンプダイレクト」と呼ばれる技術は不純物の阻害作用を抑え込むことができ、不純物を取り除く手間が省ける。

ウイルスの有無を調べるPCR検査は一般的には4~6時間かかるとされる。検出時間が短い手法でも約2時間かかるが、島津の製品を使えば1時間でウイルスの検出が可能で、検査時間を短縮できる。

各社は従来よりも検出までのスピードが速い検査キットの開発を進めている。栄研化学は診断補助に使える検査試薬キットを発売した。クラボウは少量の血液からウイルスの感染の有無を判定できる製品を発売している。
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2020年2月29日 (土)

最先端技術は匠に依存している―高度な技に熟達した職人―

最先端技術は匠に依存している
高度な技に熟達した職人[科学][現代]

 中国の李 克強(li3ke4jiang4、リー・クーチアン)中国共産党中央政治局常務委員・中央国家安全委員会副主席・国務院総理(首相)は、鉄鋼石炭業界の座談会の席で「我々はボールペンのボールを含めてダイス鋼〔注〕を生産する能力すらなく輸入に頼っている。これらの構造的問題を調整する必要がある。」と述べたそうです。ダイス鋼だけではありません。中国は半導体製品製造大国でありながら、輸入される半導体チップの総額が輸入される石油総額を上回っています。すなわち、中国は核心的素材・部品を輸入して半導体製品を輸出しているのです、つまり半導体製品組立工場というわけです。半導体だけではなく、宇宙技術や産業用ロボットアームに使われる「精密減速機」やボールベアリングの精密歯車・真球ボール、港で使用されるクレーン車・超重機のワイヤーロープ、自動車エンジンの主軸、飛行機の外装アルミ合金などの製品などが生産できなく、すべて輸入しなければならないのが現状です。今、中国はこの構造的問題を解決しようとしている、ということです。

  最先端技術というのは、特許がとれる最新科学技術や高性能な工作機械があれば可能だと考えるのは間違いです。実用になるまでには多くのノウハウを蓄積しなければならないし、結論から言えば、最先端技術は匠に依存しているのです。

 例えば、ボールペンのボールや精密ボールベアリングに使用される「真球(に限りなく近い)ボール」の製造について説明すれば理解できるでしょう。「真球」は次のように造られます。

 (真球ではない)ボール」を「(ボールより硬い)真平(まったい)らな板」にたくさん並べてその上に「真平(まったい)らな板」を載せて僅かな圧力をかけて板をゆすって、間に挟まったボールを僅かずつ研磨していき「真球」に近づけていく。

 「なんだ、簡単ではないか」と思うのは早とちりです。その「真平(まったい)らな板」はどうやって作っているのか。これは職人(「ラップ工」と言われる)が、「平らに見える板」を指の腹でミクロン単位の凹凸を探しながら研磨液を使って研磨して作り出すのです。この作業は高度に熟練した技を持っている職人(「匠」)しか成し得ないのです。つまるところ「最先端技術=匠の技」ということなのです。中国は、他の事はパクることは出来ても、この「匠」が居ないというのが「構造的問題」なのです。

 最近、中国発の記事がわが国を「ベタ誉め」しています(Searchina.をご覧ください)。「反日国家」がこのような記事をたくさん書いているのを見ると「気味悪く」思えてしまいます。

 私が思うのに、次の記事の下線部分に「中国の意図」があると思われます(中国のメリットだけですから)。「人材をパクる気」満々に見えます(独断と偏見が含まれているかも知れません)。人材をパクられるのは「真平(マッピラ)です

 Searchina.より
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日本と中国、半導体産業での協力で最高のパートナーになれる=中国メディア 2019-12-09 11:12

 中国メディア・東方網は5日、日中両国の半導体産業が協力すれば、互いにとって大きな利益になるとする記事を掲載した。

 記事は、先日パナソニックが半導体事業から撤退するとの情報が流れ、広く注目を集めたと紹介。一方、中国は現在大々的に半導体産業を発展させている最中であり、日本との間には大きな相互補完性があり、日中協力の模索により、ウインウインを実現することができるとの見方を示した。

 また、1980年代ごろまで隆盛を誇っていた日本の半導体産業が、内部組織や戦略の問題、経営能力の問題、閉鎖的な体質の問題、マーケティングより技術を重んじる風潮、そして、90年代以降の韓国、台湾での半導体産業の勃興といった種々の理由により衰退しつつあるとする一方で、その材料設備や細分化市場においては依然として他社の追随を許さない強みを持っているとした。

 そして、世界最大規模かつ最速ペースで成長する集積回路市場の中国は、2020年には世界の47%の半導体製品を消費するとの予測も出ていると紹介。一方で自国の半導体産業は立ち遅れているため、日本の半導体製品に対する需要が非常に高いと説明している。

 さらに、日中両国間の半導体産業においては、人材交流分野の協力の余地も非常に大きいと指摘。発展のスタートが遅れたことで中国の半導体人材はなおも不足状態にあり、長期間かけて発展し、成熟させてきた日本の半導体産業が持つ重厚な人材は中国にとって大きな魅力であるとし、両国間の人材協力や交流は、互いにとって非常に大きなメリットを持つとの見方を示した。

 記事は最後に「日中の半導体業界による協力強化が、市場や人材から着手して徐々に技術、産業などの高いレベルへと進むことで、業界全体の発展が大いに期待できる」と結んだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

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注 ダイス鋼 ……英語表記die steel。「ダイス」とはいわゆる「金型(かながた)」。金型製作は中小企業によって支えられている。
ダイは金属材料やプラスチックの成形に使う型工具で,日本語では複数形でダイスといわれる。プラスチック用は低温で使用するので炭素鋼であまり問題はない。金属用は熱間加工用では耐熱性,また激しい加工に耐えるための耐摩耗不変形性などが要求される。被加工材が比較的軟らかくまた小型ならば炭素 C0.8~1.1%程度の炭素鋼またはこれにタングステンW,クロム Crを添加した低合金鋼でよいが,多くは用途により次のような特殊合金鋼が使われる。 (1) ダイカスト用  C0.3~0.5%,Cr3~5%にモリブデン Mo1~1.5%または W5~10%加えた合金鋼が多い。寸法精度をよくするため熱処理後切削,放電加工などで正確に成形する。 (2) 線引き用  C2%前後,Cr10~15%に W2~4%を加えたものが多い。 (3) ねじ切りタップ・ゲージ・小物抜き型用 C約 1.0%に Cr0.5~1.2%,W0.5~1.5%のものと,C1.0~2.2%に Cr5~10%,Mo0.8~1.2%,バナジウム 0.2~0.5%の2系統がある。 (4) 鍛造・プレス用 鍛造用としては (3) と同質のもの,また自由鍛造金敷き用には C0.5~0.8%,マンガン 0.6~1.2%,ニッケル Ni0~2.2%,Cr0.7~1.5%,Mo0~0.5%のもの。プレス用には (2) と同質,または C0.7%,Ni2.5%,Cr1.2%,Mo0.4%程度のものが使われる。これらの鋼種はすべて高級なキルド鋼材を原料とし,十分鍛造して調質後入念正確な熱処理をしないとよい性能は発揮できない。(コトバンク ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説「ダイス鋼」より)

参考記事(Searchina.より)

理解できても無理なんだ! 日本企業が作る「減速機」を中国企業が再現できない理由=中国

2020-02-28 07:12

 「減速機」は歯車などを使って回転速度を落とし、回転力(トルク)を高める装置だ。さまざまな機械に使われている非常に重要な装置である減速機について、中国メディアの今日頭条はこのほど、中国企業は「日本企業が作る優れた減速機の仕組みを理解できても、同じ品質の減速機は作れない」と論じる記事を掲載した。

 世界の工場として今なお世界に大きな影響力を持つ中国だが、近年は人件費が高騰しているうえ、中国政府が製造業の高度化を進めていることから、さまざまな工場で産業用ロボットの導入をはじめとする機械化が進んでいる。記事は、「中国国内では人件費の上昇とともに、工場のロボット化の動きが加速している」と紹介した。

 続けて、世界の産業用ロボット市場において、大きなシェアを獲得しているのは日本企業であり、さらに産業用ロボットの関節などに使われる「精密減速機」でも日本企業が大きなシェアを獲得していると紹介。中国にも減速機メーカーは複数存在し、日本企業が作る減速機の原理や仕組みは理解できるとしながらも、「中国メーカーの減速機は日本企業の製品に及ばないのが現状である」と指摘した。

 さらに記事は、減速機は歯車が使われていることから、一見すると簡単に作れそうに見えるとしながらも、精密減速機の場合は歯車はできるだけ小さい体積である必要があり、同時に歯車には質の高い熱処理が必要で、対称性も求められると紹介。また組み立てにもおいても高い精度が必要になる精密機械なのだと指摘した。

 続けて、精密減速機を製造するうえでは、金属加工の技術や精密さ、そして使われる金属の質の高さが求められると指摘し、これこそ日本企業が作る優れた減速機に中国の減速機が敵わない理由であり、「日本企業が作る優れた減速機の仕組みを理解できても、同じ品質の減速機は作れない」理由なのだと強調した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

 

2020年2月 4日 (火)

武漢肺炎(新型コロナウィルス感染症)の謎

武漢肺炎(新型コロナウィルス感染症)の謎

バイオハザードの証拠が見つかる?![科学]

 

 私の好きなゲームにCAPCOMの「バイオハザード」がありますが、今回の武漢肺炎のパンデミックは、まさにこの「バイオハザード」だと思われます。 

 インド工科大学の科学者達が生物学の科学誌BioRχiv(バイオアーカイブ)に発表した「新型コロナウイルス2019-nCoVのタンパク質と、その中に挿入されているヒト免疫不全ウイルスHIV-1との不可思議な類似性」と題する論文によれば、「新型ウイルスには、4つの他のウイルスのタンパク質が挿入している。」とあります。
BioRχiv 誌
Bioriv

4つの他のウイルスのタンパク質」は「ヒト免疫不全ウイルスHIV-1との不可思議な類似性」がある、とのことです。この挿入されたタンパク質は「SARSウイルスやコロナウイルスには見られない配列」で4つすべてが「ヒト免疫不全ウイルスHIV-1と一致」していて、「偶然の変異ではまず起こらない」とのことです。

科学誌BioRxivのソースはindeepさん「新型コロナウイルス、人為的に作られた?!証拠を発見」です。

ヒト免疫不全ウイルスHIV-1のタンパク質の挿入の傍証が次の記事です。 

日本経済新聞の記事(2020/2/2 19:03 (2020/2/3 14:31更新))「タイ政府「新型肺炎、エイズ・インフル薬で症状改善

時事通信202001311822分)新型肺炎、治癒後も再感染リスク 中国専門家【北京時事】中国国家衛生健康委員会が31日開いた記者会見で、中日友好医院の※慶元(※簷の竹カンムリなし)医師は新型コロナウイルスによる肺炎に関し「感染後にできる抗体には長期間持続しないものもある。一度感染し治癒した患者にも再感染のリスクがある」と述べ、警戒を呼び掛けた。」(一部を抜粋)

詳しくは、テンパの裏話武漢コロナウイルスは人為的に作られたものだった?特効薬がそれを裏付けた!」をどうぞ。

2020年2月 1日 (土)

固体燃料ロケットについて―主権を守る技術―

固体燃料ロケットについて

主権を守る技術[現代][科学]

 

 一運(60年)遡る小学生の頃の話だけれど、セルロイドの下敷きを細かく切って、鉛筆キャップ(鉛筆の芯が折れるのを防ぐアルミ製のキャップ)に詰めたものを数多く作っておいて、マッチで火をつけて飛ばして遊んだことがあります。これは極小さいけれども「固体燃料ロケット」です。ただ、どこに飛んでいくかわからない危険性がありました。これが固体燃料ロケットの特徴を立派に教えてくれます。

・構造が単純で部品点数が少なく安価にできる

・燃料が個体なので常温で長期間保存できる

・点火が容易である

・制御するのが難しい

 

 つまり、固体燃料ロケットは、それ自体をつくるのは容易で安価ですが、制御する技術を伴わないと使い物にはならない、ということです。

 

 だから、固体燃料ロケットは、制御が容易な液体燃料ロケットでロケットの制御技術を充分に習得した上で、固体燃料の燃焼を制御する技術を積み上げなければならないのです。

 わが国のロケット技術は、糸川英夫博士が主導した固体燃料ロケット(「ペンシルロケット」・「カッパロケット」・「ラムダロケット」)で「ノーズコーンや尾翼の材質、形状、重心の変化等による空力特性の変化による分散の影響などが調べられ」(Wikipedia「ペンシルロケット」より)、「(ラムダ-4エスロケットは)1966年から1970年にかけて5度打ち上げられ(他1回は試験機)、5度目にして日本初の人工衛星「おおすみ」の打上げに成功した[2]。これによって日本はソ連、アメリカ、フランスに続き、世界で4番目に自国の能力により人工衛星を打ち上げた国となった。」のです(WikipediaL-4Sロケット」より)。すなわち、わが国の固体燃料ロケットの技術は、既に50年(半世紀)前に完成を見ています。

 その後、「ある程度以上の大きさを越えると同規模の液体燃料ロケットに比べて構造効率が悪化する」(=ある程度以上に高高度あるいは重い人工衛星等を打ち上げられない)ため、液体燃料ロケット(H2ロケット)に転換して今日に至っています。

 では、固体燃料ロケットの使い道はないのかといえば、とんでもなく重要な用途があります。「点火が容易である」ことが役立ちます。液体燃料ロケットは、揮発性がある燃料なので常時装填しておくことが難しく(毒性や危険性)、ロケットへの燃料充填に時間を要します。一方、固体燃料ロケットは、安全な固体燃料が既に充填されているので、すぐに発射できます。この「即時発射可能」というメリットは、「迎撃ミサイル」に求められる点です。「液体燃料ロケット」の技術は当然ですが、「固体燃料ロケット」の技術は「防衛」に不可欠です。この技術を持つ国はそんなに多くはありません。

 

 よく「国民の生命と財産を守る」という「軍隊の宣伝文句」がありますが、これは「真っ赤な嘘」です。兵士も「国民」です。戦争をするのは「兵士(国民)」を「死地」に赴かせることです。「多数の国民を守るため(少数の国民の犠牲はしかたない)」というのは「全体主義」です。極端に言えば、「国民の生命と財産を守る」ためなら戦わずに降伏すればよいのです。「何を馬鹿なことを言うのだ」とお怒りになるのは早計です。「国民の生命と財産を守る」のではなく「国家の主権」を守るために「軍隊」はあるのです。そのためには「国民の生命と財産」が多少失われても仕方ない(と言うのが「戦争」な)のです。

 では、「国家の主権を守る」と言える程度の「主権国家」なのか、という問題が立てられます。他国の軍隊の駐留によって守られる国家の主権はいかほどのものか、という問題です。

 一流の主権国家は、「一流の兵器(核弾頭を積んだICBM(大陸間弾道弾))」を所持しています。「一流の兵器」が「抑止力」として働くためには、「核攻撃」を受けたら(核搭載ミサイルが発射されたら)直ちに「迎撃ミサイル」(迎撃可能かの問題はある)および「反撃ミサイル(核搭載ICBM)」を確実に発射できねばなりません(第1擊で破壊されてはならない)。

 上記目的のためには、次のことが必要です(わが国は海洋国家である点に留意)。

1 爆撃機やトマホーク等による通常攻撃を防ぐための、レーダー網と迎撃ミサイル(海上はイージス艦など)。

2 ICBM攻撃を察知する独自の全球型偵察衛星網(地球の反対側からも可能性あり)。

3 確実な反撃手段(理想的には、核ICBMを搭載した原子力潜水艦)。

 

 わが国の「防衛」には、米軍のような「空母打撃軍」(これは攻撃型(圧力型))は必要ありませんが、敵の攻撃を素早く察知するシステムと、通常の爆撃手段を確実に防ぐミサイルによる防衛システム、並びに確実に反撃できる原子力潜水艦を多数所持する必要があります。これはアメリカ合衆国(米軍)が望むと望まざるとにかかわらず「主権国家」でありたければ必要なことです。

 米軍の「核の傘」と「駐留」で守ってもらっている限り、「独自の偵察衛星網」も「迎撃ミサイル網」も「核兵器搭載原子力潜水艦」も必要がないということ(その程度の「主権」)なのです。

 

【以下はWikipediaよりの抜粋です】

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Wikipedia「個体燃料ロケット」

固体燃料ロケット(こたいねんりょうロケット)は、固体の燃料と酸化剤を混錬してロケット本体(モーターケース)に充填した固体燃料を使用するロケットである。単に固体ロケットとも呼ばれる。単純なものは主に、モーターケース、ノズル、推進薬、点火装置(イグナイター)で構成される。

液体燃料ロケットとは異なり、使用時にはポンプなどの機械部品で燃料を燃焼室に移送することなくロケット内部の燃料へそのまま点火する。

構造的にはロケット花火を例にすると想像するのに丁度いい。ケースが外側の紙ケース、ノズルが紙ケース下部、推進薬が火薬、点火装置が導火線である。実際ロケット花火も固体燃料ロケットの一種である。

(中略)

特徴

モーターケースが燃焼室を兼ねていて部品数が少ないため、構造が簡単で安価に製造できる利点があるほか、小型のものでは全質量に対する構造質量を低減、すなわち構造効率を向上させることができる。また液体や気体の推進剤と異なり、固体である推進薬は常温では蒸発せず拡散しないため毒性に留意する必要がない。燃料は化学的に比較的安定した性質の物質からなり、製造後の点検がほとんど必要ないまま長期間保管でき、即応性に優れる。

 

その一方で、燃焼の制御が難しく、点火後に燃焼の中断や再点火、推力の調整を行うことは原理的に非常に困難である。そのことがチャレンジャー号爆発事故やブラジルロケット爆発事故の原因だと言われている。

 

またモーターケースは自身が燃焼室となることから燃焼圧力と温度に耐える必要があり、エンジン部分のみが圧力と温度に耐えればよい液体燃料ロケットに比べて頑丈でなければならず、ある程度以上の大きさを越えると同規模の液体燃料ロケットに比べて構造効率が悪化する。また燃焼ガスの平均分子量が比較的大きく、液体酸素/液体水素系や液体酸素/炭化水素系の液体燃料ロケットに比べて比推力に劣るが推力の大きなロケットを比較的容易に製造できるほか、推進剤の密度が大きいのでロケット全体のサイズを小さくすることができる。

これらの性質から、即応性を重んじる軍用のミサイル、大型衛星を打ち上げるためのロケットの推力を補強するブースター、最終的に衛星を軌道に投入する小型のアポジキックモーターなどに用いられる。ちなみに、液体燃料ロケットと違いノズルや制御用装置を含め、通常「ロケットエンジン」とは呼ばず、ロケットモーターと呼ぶことのほうが多い。

全長が長くなると管内での流路抵抗が増えるので望ましくない。燃料の断面は投入軌道の特性に合わせて推力が変化するように成型される。ミサイル転用型の場合、軌道投入に効率が下がり、衛星打ち上げ専用のロケットと比較した場合、同じ推進剤の量でも投入できる衛星の重量が下がる。極低温を要する液体燃料ロケットと比較して常温での保存に適するが、打ち上げ時の温度は燃焼速度に多少影響する。

 

Wikipedia「ペンシルロケット」

ペンシルロケットは、将来のロケット旅客機開発の実現を睨んだロケット推進の研究を目的として、東京大学生産技術研究所AVSA(Avionics and Supersonic Aerodynamics:航空及び超音速空気力学)班が開発した、一連の小型ロケットシリーズである。開発名は「タイニー・ランス」。

(中略)

太平洋戦争後の日本における初の実験用ロケットである。1954年に年間予算560万円で開発が開始された。予算の制約から超小型の火薬式ロケットを実験装置として使用し、鉛筆(ペンシル)のようであるところからこの愛称が生まれた。これについて実験を主導した糸川英夫は、米ソの大型の実験機を縮小して実用化するという発想から、小さな物を巨大化して実用にするという「逆転の発想」を用いたものだと後に説明している。

国際地球観測年(IGY)において高層大気観測を行うという方針が1955年に決定されたため、AVSA班の方針もロケット旅客機から観測ロケットへ変更された。

合計150機あまりが発射された。ロケットとしては非常に小さく、また、能力も実用に耐えうるような代物ではなかったものの、単体でロケットシステムとして成立しており、ノーズコーンや尾翼の材質、形状、重心の変化等による空力特性の変化による分散の影響などが調べられた。後のカッパロケットやラムダロケットの開発時におけるフラッター現象の解析においては、これらのデータが有効に活用されたという。

 

日本最初の人工衛星「おおすみ」(Wikipedia「おおすみ」より)

おおすみは、1970年2月11日に東京大学宇宙航空研究所(後の宇宙科学研究所)が鹿児島宇宙空間観測所からL-4Sロケット5号機により打ち上げた日本最初の人工衛星である。名称は打ち上げ基地があった大隅半島に由来する。

 

L-4Sロケット(Wikipedia「L-4Sロケット」より)

L-4Sロケット(ラムダ-4エスロケット)は東京大学宇宙航空研究所(以下、東大)が日産自動車宇宙航空事業部(以下、日産)と共に開発し、日産が製造[1]、東大が運用した日本初の人工衛星打ち上げ用固体燃料ロケット。1966年から1970年にかけて5度打ち上げられ(他1回は試験機)、5度目にして日本初の人工衛星「おおすみ」の打上げに成功した[2]。これによって日本はソ連、アメリカ、フランスに続き、世界で4番目に自国の能力により人工衛星を打ち上げた国となった。

 

日本の宇宙開発(Wikipedia「日本の宇宙開発」より)

1970年代に入るとより精度の高いロケットの開発が始められた。おおすみを打ち上げたL-4Sの技術を元にミューロケットの初期型であるM-4Sロケットが開発された。1号機は失敗したものの、その後は3機続けて人工衛星の軌道投入に成功し、ミューロケットの土台となった。この後、システムを簡易化するためにミューロケットは4段から3段へと変更を行い、誘導制御とロケットの強化を行ったM3-C型に改良した。M3-C型は4機打ち上げられ1機は失敗したものの3機の軌道投入に成功した。さらにM3-Cの1段目を長くして推力を挙げたM3-H型で3機、全段が誘導可能になったM3-S型で4機の衛星の打ち上げを連続して成功させた。徐々に軌道投入が正確になり、高いところへの投入が可能になって行った。

(中略)

宇宙開発事業団は初期には独自の液体ロケットの開発を行う予定であったが、差し迫った実用・商業的なロケットの必要性から、アメリカと日米宇宙協定を結び米国からの技術導入の運びとなった。アメリカのデルタロケットの1段目液体エンジンを利用し、国内で開発を行っていたLE-3を2段目に設置した液体ロケットの計画を始めた。こうしてN-1ロケットが開発された。しかし、最初の液体ロケットとなったN-Iロケットは軌道への投入能力が低く、衛星を製作する能力も米国に劣っていた。このため、1977年には米国からの技術移転で作られた静止気象衛星ひまわりをアメリカのロケットで打ち上げた[11]。また、さくらやゆりなども米国のロケットで打ち上げてもらった。N-Iロケットは製造技術と管理手法のみの技術取得であったが、こまめに記録を取り、宇宙開発事業団は徐々に技術を身につけ、衛星でもひまわりの2号機以降は国産化率を高めていった。

これ以降、宇宙開発事業団は大型化する衛星の要求を満たすためにN-Iロケットの後継であるN-IIロケットの開発を始め、2段目はノックダウン生産に変え、300kg近いひまわり2号を静止軌道に投入することに成功した。これらのロケットはアメリカのデルタロケットのライセンス生産やアメリカ部品のノックダウン生産でありロケット自体は非常に質のよいものであったが、衛星のアポジモーターなどはブラックボックスになっており失敗したときに改善するにも情報がなかなか手に入らなかった。このため、ロケット全体を自主開発することが必要となり国産での開発を始めた[2]。新しく開発されたH-Iロケットは独自で研究開発を行った液体燃料ロケットLE-5エンジンを実用化し、2段目をこのロケットエンジンに変えた[11]。LE-5は再点火できることが特徴でこの特長によりN-IIより強力になり、H-Iロケットの静止軌道への投入能力は500kgを超えた。

宇宙開発事業団の生産したロケットは多くが商業衛星を打ち上げるために使われ、急速に増えた通信衛星や放送衛星、気象観測衛星などを打ち上げていった。H-Iロケットは9機生産され、そのすべての打ち上げに成功しており、日本で初めて複数の衛星の同時打ち上げに成功した[11]。

(中略)

こうしてロケットの開発が進んだ日本であったが、1990年(平成2年)には米国貿易政策「スーパー301条〔これで日本のOS「B-TRON」が潰され、MicrosoftのOSが普及した〕が適用され、日本が国内で使用する実用衛星も国際競争入札にしなければならなくなった。これによって実用衛星の打ち上げに関しては、より安価に打ち上げることの出来る米国製のロケットが多くを持っていき、また、少数生産で高コストの国産衛星は、大量生産で低価格の欧米の商用衛星に敵わず、ひまわり5号の後継機は米国製の完成品購入になった[2]。みどりのような環境観測のための衛星や[12]、はるかのような天文衛星など科学衛星や実験衛星は日本のロケットで打ち上げられることがほとんどであり、これらの衛星は大きな成果を上げた。しかし、商用衛星の打ち上げが海外に流れたことは現在に至るまでロケットの商用打ち上げの実績を積むことができない理由ともなった。

また、1990年代後半から2000年代初めにかけては新たに開発した大型ロケットで躓くことになった。H-IIロケットの5号機と8号機が連続で打ち上げに失敗し、M-Vロケット4号機も打ち上げに失敗[11]。火星探査機のぞみは軌道投入に失敗した。これらの失敗と折からの行政改革の動きが重なり、宇宙機関の統合が政府で提案されるようになった。組織間の連携の強化、機能の重点化、組織体制の効率化などを行う計画が立てられ、宇宙開発事業団は、H-IIロケットの打ち上げ失敗を反省してロケットの再設計と簡素化を行い、2001年にH-IIAロケットの初打ち上げを成功させたが、2003年10月1日に宇宙科学研究所(ISAS)、宇宙開発事業団(NASDA)、航空宇宙技術研究所(NAL)が統合され、文部科学省の下で宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発足した[13]。

機関統合後

宇宙航空研究開発機構(JAXA)設立直後のH-IIAロケット6号機の打ち上げは失敗したものの、その後は成功を重ねた。さらに2009年には、より搭載能力の高いH-IIBロケットによる宇宙ステーション補給機(HTV)の打ち上げも成功させ、国際宇宙ステーション(ISS)への物資の補給を初めて成功させた。また同年にはISSで最大の実験棟となるきぼうの運用も開始された。2013年秋に、M-Vロケットの後継の固体燃料ロケットのイプシロンロケットの初号機が打ち上げられた。一方で、初の商業打ち上げとなった2012年のH-IIA21号機によるアリラン3号の打ち上げ以来商業受注を再び指向するようにもなっている。

衛星分野に関して言えば、1990年の日米衛星調達合意以降、国内で打ち上げる人工衛星の多くが官製の科学衛星や実験衛星になったため、この分野の技術力が強いものとなっていった。気象衛星のひまわり7号の標準衛星バスのDS2000はきく8号に使用された衛星バスを発展させることによって開発されたもので、これによりコストを下げることができ、再び国産で気象衛星を打ち上げることができるようになった。また標準衛星バスのNEXTARを開発したことで、基礎部分をある程度共有するセミオーダーメード型の衛星の実現が可能になり、安価で迅速な開発も可能となり、小型科学衛星(SPRINTシリーズ)や実用リモートセンシング衛星(ASNAROシリーズ)を多く打ち上げる計画も立ち上げられている[14]。

近年で最大の成功ははやぶさの帰還と言える。工学実験を主目的に作られたはやぶさは、2003年に内之浦宇宙空間観測所からM-Vロケットで打ち上げられ、2005年に小惑星イトカワを探査、打ち上げから60億kmの飛行を経て2010年に地球に帰還した[15]。イトカワへの 着陸時にトラブルがあったため、小惑星の試料を採取できていない可能性が高いとされていたが、帰還させたカプセルの中に小惑星の試料が入っており、これによってはやぶさは世界で初めて小惑星から試料を持ち帰った探査機になった[16]。

現在

1998年の北朝鮮のミサイル実験以降、過去には行われてこなかった情報収集衛星[注釈 1]の打ち上げやミサイル防衛など防衛目的での宇宙利用が行われるようになった。また、冷戦終結後は欧州や中国、インドなど各国の宇宙開発の進展によって国際環境が変化したことで日本独自の宇宙開発の意義も変化。さらに、研究開発や科学だけでなく商用や産業の発展などの実用への活用の要求や、宇宙開発に協力する国内民間企業への恩恵の少なさなどが日本の宇宙開発の課題となっていた。

このような問題に対応するため、宇宙開発の中心を文部科学省から関連省庁の垣根を越えた内閣総理大臣の責任の下に移すことが考えられるようになり、2008年に宇宙基本法が制定された。これによって法的に内閣の下での宇宙開発の計画管理の一元化の道筋が立ち、防衛利用の法的根拠等も整備された[17]。制定後、内閣に宇宙開発戦略本部、内閣府に宇宙政策委員会と宇宙開発推進戦略事務局が相次いで設置された。従来、文部科学省の宇宙開発委員会が行っていた計画管理も内閣府の宇宙政策委員会に移り、新しい宇宙開発計画体制が構築された。従来の日本の宇宙開発体制では、JAXAを所管していた文部科学省が力を持っていたが、これらの組織の発足により経済産業省も力を持ち始めるのではないかと推測されている。

2018年10月 4日 (木)

宮大工と鋸(のこぎり)

宮大工と鋸(のこぎり)

道具に対する「考え方」の違い[科学]

 

 わが国のものに夢中になって「ニッポンに行きたい」という海外の人を日本に招待するとうTV東京の番組「世界! ニッポン行きたい人 応援団」という番組のYouTubeを見ました。この番組は教育番組ではありませんが、私も含めて日本人がそれほど良く知らないわが国のいろいろ伝統技術を教えてくれます。

 以前(2018625 ())、図書紹介『古建築を復元する』―復元の基礎知識が得られる―で、古代建築の基礎知識が得られる図書とご紹介しました。

 図書では分からない実際を「世界! ニッポン行きたい人 応援団」で知ることができます。職人が共通して語る「道具を大事(大切)にすると腕が上がる」という言葉が印象に残ります。「道具は命の次に大事なもの」「もっと道具を大切にしましょう。そしたらもっと良くなります。」という言葉もありました。

 わが国以外の鋸(のこぎり)は押して使うという事実に驚きました。薄い鋸は押して使うと折れると思うのですが・・・。どうも外国人の考えることは理解できない(非合理的な)事が多いです。日本人の方が「道具がその役割を果たせるにはどうあれば良いか」ということを極めているように思えます。例えば刃物なら、外国人は「切れさえすればよい」と考えていて、日本人は「良く切れる」とか「切り口が美しい」とか「永くもつ」とかを考慮していると思います。外国人の「~さえすればよい」という考え方は「労働」という考え方に対しても及んでいるのではないかと思えます。これが「マニュアル」というものを生んだのではないでしょうか。外国人は「基本的機能だけ」を考えていて、日本人は「機能の究極目的を果たすための在り方」を考えているように思えます。

 

 今回は、宮大工の棟梁が「とても」に力を入れて「とてもいい鋸です」と言った「房州鋸」と大都流社寺建築 西嶋工務店が建築する「高野山清浄心院護摩堂」(2020年完成予定)です。

 「房州鋸」なら11(分):45(秒)~22:00、建築現場「清浄心院の護摩堂」なら38:00~53:40をご覧頂けば充分です。CMが有れば飛ばしてください。

世界!ニッポン行きたい人応援団 “宮大工”&“のこぎり”愛すアメリカ人ご招待 2017年2月2日 17 02 02

 なお、この番組のナレーションが姫路城の「大柱」を「心柱」といっているのは間違いで、「表示板」に「東大柱」と書いてある通り「大柱」が正しい呼称です。「心柱」とは「中心柱」の意味で「五重塔」や「七重塔」のように中心にある(唯一の)柱を指します。姫路城には中心にある柱はありません。だから「東大柱」とか「西大柱」と呼んでいるのです。また、「西大柱」の修復で用いられた柱を繋ぎ合わせる技法は、背の高い「仏塔」の心柱には古来より用いられている伝統的技法です。

2018年8月31日 (金)

汗をかくから暑いのだ?!

汗をかくから暑いのだという話

暑いから汗をかくのではない?![科学]

 

 サンキュータツオさんの『ヘンな論文』に採り上げられそうな論文です。私たちが「暑い」と思うのは体が先に汗をかくからだということのようです。結論よりも結論を導くまでの過程のほうがヘンな論文』的なのです。

 

暑いから汗をかくのではない。汗をかくから暑いのだ。」(これは私の解釈です)

〔どこかで聞いたような科白(せりふ)だ。明日(9月1日)の気温の予想は36°Cだとのこと。〕

 

・皮膚温と外部の温度の差で暑さ・寒さを感じる

気温38℃のときは発汗により気化熱が奪われるため、皮膚の温度が下がって、その結果、外部の気温と皮膚温の差が大きくなり、暑く感じる。

 

自然科学観察コンクール 第43回入賞作品 中学校の部 文部科学大臣奨励賞を取った

愛知県刈谷市立刈谷南中学校2/3年 原田 丈史 他5名の作品です。

38℃の日は暑いのに38℃の風呂に入ると熱くないのはなぜか

https://www.shizecon.net/award/detail.html?id=15

 

 

2017年12月16日 (土)

縄文人と弥生人

縄文人と弥生人

― Youube を探してみました ―

 

 

遺伝子に隠された日本人の起源 ~篠田謙一~(ミトコンドリアDNA

https://www.youtube.com/watch?v=bdLJquxFdvQ

 

DNA研究で迫る日本人のルーツ 斎藤成也教授ほか

https://www.youtube.com/watch?v=srNuVtvFacE

 

縄文人の“核DNA”から迫る日本人のルーツ

https://www.youtube.com/watch?v=70bxfk3iwwk

 

NHKスペシャル

№1https://www.youtube.com/watch?v=bKBSemfl4Tg

№2https://www.youtube.com/watch?v=abONFwG13BY

№3https://www.youtube.com/watch?v=Rx61cJduXPg

№4https://www.youtube.com/watch?v=Xo5oHu43iuM

№5https://www.youtube.com/watch?v=P5lYQH6Z0E0

2017年5月23日 (火)

「論理」と「神」 -神の立場は科学とは無縁-

「論理」と「神」

- 神の立場は科学とは無縁 -

 

数学は数学基礎論に基づいています。数学基礎論は「論理」と「集合論(広義)」で構成されています。「集合論(広義)」を細かく分ければ「集合論(狭義)」と「自然数論」になります。「自然数論」の扱う「自然数」は「集合論」によって空集合から構成されています。「集合論(広義)」は「自然数論」を含んでいることになります。

 

「論理」は、仮説に基づいている

 

「論理学」では、「今日は日曜日だ」というような「事物の判断について述べたもの」を「命題」といいます。また「xは素数である」というような変数(変項)xを含んだ命題を「命題関数」といいます。xに何が代入されるかによって「命題の値」が決まる命題を「関数」に見立てたのです。命題が叙述していることが「真」か「偽(真でない)」かを「命題の値」としています。正しいとされる推論規則は「演繹原理」と「代入原理」のだた二つです。

………………………………………………………………………………………………………………

【演繹原理(deduction principle, modus pones三段論法)】

命題Pと命題PQとがともに真ならば命題Qも真である。

【代入原理】

命題Pが真ならばPに含まれる各命題変数に任意の命題を代入してつくられる命題は真である。

………………………………………………………………………………………………………………

そして、論理学では、次の「大問題の仮説」を前提にしています。

 

「命題は真か偽(真でない)かのどちらかである」………《論理学の仮説》

 

誰が何時これを確かめたというのでしょうか。“神のみぞ知る”ことを前提にしているのです。神の立場であれば、このように「命題は真か真でないかのどちらかである」と言えるでしょう(前提にできる)。でも、我々人間は神ではありませんから、この命題(言明)は証明されていないことです。この命題は「仮説」なのです。我々は、ときどき(というか、しばしば)仮説に基づいていることを忘れます。命題計算(命題の取り扱い)に関する「ヒルベルト⁼アッケルマンの定理」というものがあります。

………………………………………………………………………………………………………………

真理表によって次の三式が恒真命題であることが確かめられる。

T1 p→(q→p)

T2 {p→(q→r)}→{(p→q)→(p→r)}

T3 (¬p→q)→(¬q→p)

したがってこの三式から演繹原理と代入原理を何回か適用して次々と得られる命題式はすべて恒真命題である。

 

【定理】

どのような恒真命題もT,T,T3の三式に演繹原理と代入原理を有限回適用して導き出すことができる。

………………………………………………………………………………………………………………

このT,T,T3の三式を「ヒルベルトアッケルマンの公理」ということもあります。

いま、この定理を理解する必要はありません。この定理から排中律¬¬p→p(「命題 ¬p は真」と同じ)が導けます。やってみましょう。

 

(1)T2式のrに命題変数pを代入します。

再掲T2 {p→(q→)}→{(p→q)→(p→)}

{p→(q→)}→{(p→q)→(p→)}…………(式1)

再掲T1 p→(q→p)

この(式1)の前半{p→(q→)}T1の式と同じです。

(2)演繹原理から(式1)の後半{(p→q)→(p→)}が恒真命題であることが導かれます。

{(p→q)→(p→)}…………(式2)

(3)この(式2)のqにq→pを代入します。

再掲(式2){(p→)→(p→p)}

{(p→(q→p))→(p→p)}…………(式3)

(4)上記の(式3)の前半p→(q→p)はT1の式と同じです。

再掲(式3){(p→(q→p))→(p→p)}

再掲T1 p→(q→p)

演繹原理から(式3)の後半p→pが恒真命題であることが導かれます。

p→p…………(式4)

(5)次に、(式4)のpに¬pを代入すれば

¬p→¬p…………(式5)

(6)次に、T3式のqに¬pを代入すれば

再掲T3 (¬p→)→(¬→p)

(¬p→¬p)→(¬p→p)…………(式6)

(7)この(式6)の前半が(式5)であるから

後半¬¬p→pが恒真命題であることが導かれます。

 

長々と命題計算を行って、排中律¬¬p→pが恒真命題であることを証明(論証)してきたのですが、私の言いたいことは次のことだったのです。

 

「ヒルベルトアッケルマンの公理」とよばれるT,T,T3の三式は、真理表によって恒真命題であることが確かめられたものです。真理表というのは「命題は真か偽(真でない)かのどちらかである」を大前提にしているものです。その大前提によって、排中律が恒真命題であることが確かめられたとしても、なんら不思議の無いこと(トートロジー)です。

 

つまり、論理というものは真であると確かめられない仮説(排中律)に基づいているのです。

 

論理や数学を利用する「科学は仮説に基づいている」のです。

 

神は存在するか

 

「神は在る。鉄塔の碍子に在る。

 神は在る。起重機の斜線に在る」 -北原白秋-

 

「神はすべての性質を具備したもう。

 よって存在性も具備したもう」 -ある教皇―

 

「神が人間をつくったのではない。

 人間が神をつくったのだ。」 -カール・マルクス-

 

私が考えるに、神は存在するかどうかは“神のみぞ知る”ことのようです。

 

「神は在る。なんとなれば、聖書にそう書いてある。」

「重いものは軽いものより速く落下する。なんとなれば、アリストテレスがそう言った。」

このように「『××□□』に書いてある。」「○○○○が言ったことだから」というような考え方を典拠主義dogmatism)と言います。dogmatism教条主義とも訳されます。

これに反逆したのがルネサンスでした。

「真偽はすべて論証と実証によって判定されねばならない。」

近代科学の勃興はルネサンスからと教科書には書いてあったと記憶します。

「真偽はすべて論証と実証によって判定されねばならない。」

私はそれに次の文言を付け加えたいと思います。

科学は典拠主義(神学)ではなく、仮説を認めることで成り立っている。

2017年4月22日 (土)

「科学」は「神学」ではない

 「科学」は「神学」ではない

 

― 科学は「仮説」に基づくもの ―

 

科学と神学の違い

 

科学と神学の違いは何でしょうか。

「科学」は、「絶対的真実かどうかはわからない仮説」に基づいていますが、

「神学」は、「絶対的真実」に基づいています。これが両者の決定的な違いです。

 

「この人、何を言いだすんだろ。頭おかしいんじゃないか?」と思った方、誤解があります。

どんな誤解か。次のような理解で、これは気づかないかもしれませんが、明らかな誤解です。

「科学は絶対的真実に基づいたものである。」

 

科学は絶対的真実に基づいたものではない

 

科学は、現在のところ(という限定付きで、しかも)おそらく正しいのだろうと認められる仮説」に基づいています。「科学は、絶対的真実かどうかわからない仮説に基づいている」という考え方が「科学的態度」なのです。これは「態度」であると同時に「事実」なのです。もし、科学が絶対的真実に基づいているとしたら、新しい有力な仮説は生まれないでしょうし、生まれたとしても「異端審判」にかけられるでしょう。いまある「仮説」(科学は絶対的真実に基づいていると考えていたら「仮説」であるとすら思わないでしょう)が絶対に正しいと考えるならば、それに反するのは「科学ではない」とするのが正しいからです。異端の“科学”とされるでしょう。

 

しかし、事実はそれとは逆で、「いまのところ(その限定つきで、おそらく)正しい(のだろう)と認められる仮説」に基づいていると考えているのが「科学」であり、そう考えるのが「科学的態度」ということです。「現在のところでは(という限定付きで)」というのは「将来、新しい仮説が出て現在の仮説がひっくり返ることもあり得る」ということです。「おそらく正しいのだろう」というのは、「仮説が成り立つという証明はできる」としても「仮説自体が真実だという証明はできない」ということです。例を挙げれば、「仮説万有引力は成り立つ」という証明は可能ですが、「仮説万有引力は真実」という証明は不可能です。仮に「それができた」とすれば、それはたぶん「別の仮説」に基づいて「証明した」のです。もちろんその「別の仮説」が成り立つという証明は可能でしょうが、その「別の仮説」が真実という証明は不可能なはずです。


科学は仮説に基づいている

科学は「論理」と「数学」を用いていますが、そのどちらも「真とは証明されていない仮説」を含めて構成されています。論理学では「真であるとは証明できない」ことが証明されている「排中律」が仮説です。数学の基盤を与えている数学基礎論は、おおまかに言えば「論理学」と「集合論」で構成されていますが、その「集合論」には「ペアノの選択公理」と呼ばれる仮説を含んでいます。そして文字通りの「連続体仮説」という「仮説」を含んでいます。これらは「矛盾を含んでいないことが証明されていないもの」なのです。つまり、論理や数学を用いる限り、仮説に基づいているのです。それにもかかわらず科学に仮説を認めないという態度は全く矛盾そのものだといわねばなりません。「実証」は「科学」の一部分ではありますが、「実証」が「科学」なのではありません。科学の本質は「『仮説』を認める」というところにあるのです。「実証」が科学の本質ではありません。「実証」は「神学」の最も得意とする分野です。

 

仮説に根拠は要らない

 

仮説は、①事実に反しないこと、②事象をこれまでの仮説以上にうまく説明できる(優秀な)ものであること、③その仮説に導かれた結論が事実として証明されること、この3点が満たされれば良いのです。「仮説」を立てた根拠を問うのは馬鹿げたことです。聞くのであれば、②従来の仮説以上にうまく説明できるものなのか、つまり「その仮説を立てる必要性(なぜその仮説を立てねばならないか)」を問うべきです。その問いへの答えは、おそらく「従来の仮説より良く説明ができるから」となるはずです。なぜなら、それが仮説がうけもつ役割だからです。③はその仮説が成り立つかどうかということなので、仮説を立てた時点で問うことは間違いです。つまり、それは仮説の検証作業なので、仮説を立てる者がすべて行うべきだとするのは、学問の発展には何の役にも立たないのです。従来説より良く説明ができる新しい仮説が登場したら、その仮説に導かれた結論が事実として証明されるかどうかを検証すれば良いだけで、その検証作業をすべて仮説の提唱者に背負わせようとするのは従来説に立つ者の縄張り意識であり「学問的立場」とはいえません。「○○村の掟」を主張しているのです。

「間違っていた」とあとでわかった仮説にも意義がある


経典が命の「神学」と違い、科学は「仮説」が命なのです。新しい仮説を検証することでそれがヒントとなり新しい仮説が生まれるきっかけになるかもしれない。間違っていることを承知で仮説を立てる人はいませんから、「(たとえ結果として間違っていたとしても)仮説は提唱するだけでも意義がある」のです。実証・実証と喚く方々はこのことを「絶対に認めない」でしょう。「従来説と異なる新しい仮説を出しにくくすること」が学問の発展に寄与するなどということは絶対にありません。


「神学」は「お祖師さま(ご教祖さま)」はこのときこう話された、それは「経典○○のどこどこにかくかくしかじかと書かれている」ということが大事なのです。「いままで説明できなかったことができるようになる仮説」が科学の命なのです。これを認めない方々は「訓詁学」いや「神学」が大切なので、「仮説」を認めるわけにはいかないのです。「神学」にとって「神は絶対的真実で、仮説には断じてできない」のですから。


「訓詁学」や「神学」の好きなこと、得意なことは、論理学でいうトートロジー(英語:tautology、同語反復などと訳される、言葉を別の言葉での置き換えた演繹命題をいう)です。絶対に間違ってはいないし、推論には役立ちますが、新しい知見は得られません。

 

科学は仮説を前提する

 

私は、「どんな立場(見解)であろうと科学は何らかの仮説に基づいている」とします。「仮説に基づかない科学などありえない」ということと同値です。私は「史学」は(「史学」も)「科学」である、とします。「仮説に基づかない科学はない」のです。論理学、数学、物理学…、あらゆる「科学」は仮説に基づいて成り立っています。「科学は実証である」というのは「一面的理解」です。「科学」における「実証」とは、「仮説に基づいて論証するとこの結論となり、実際にこの結論(仮説に基づいて論証した結論)通りである事実を示すこと」なのです。


言い換えれば「仮説に基づいて論証した結論通りになる事実を示す」のが「科学における『実証』」というものです。「何を実証しているのか?」という質問に答えるならば「仮説(理論)が成り立つ」ということを「実証」しているのです。「何」を実証しているのか考えればわかるはずなのです。実証・実証と喚く方々はこれを考えていないのではなくこのことを承知の上で実証・実証と喚いていると思われます(馬鹿ではないでしょうから)。

つまり、この方々は「訓詁学」いや「神学」を主張しているのです。科学は「仮説」に基づくものです。「科学」は、「聖書」(採択によって正統とされた「福音書」の集合)のような絶対的に正しいとされるものに基づいてはおらず、いつでも「今の仮説」を否定する「新しい仮説」が出ることを前提としています。

帰納法で仮説は生まれる

新しい知見が得られる方法は、正しい推論を重ねる演繹ではなく、たくさんの個々の事象を観察するなかから一般的な共通する事象を見出して、それを一般的な法則であるとみる「帰納」という方法から生み出されます。この帰納法によって得られた一般法則は「仮説」と呼ばれます。

たくさんの個々の事象」であって「すべての事象」ではありませんから、「帰納法で得た仮説というものは正しいという保証がもとよりない」のです。「すべての事象でこの仮説が成り立つ」のかどうかは、その仮説から導かれるあらゆる結論(結論は一つというわけではないですから)が事実として証明されるかどうか、実際に確かめる作業(仮説の検証作業)になるわけで、仮説の提唱時に確かめられるわけがないのです。

仮説から導かれるあらゆる結論がすべての事象で事実として確かめる作業を、一人或いは数人の力でできるはずはありません。人類総がかりで行わねばならないことです。とは言っても、全人類がその道の専門家ではありませんから、その分野の学者などが取り組むことになります。

仮説を立てる者にこの検証作業を要求するのは学問的態度ではありません。仮説を立てる者は、好き勝手な妄想を述べたのではなく、たくさんの事象を観察するなかから一般的な共通する事象を一般則(仮説)としたのですから、「たくさんの」というのがどれほどであったかはわかりませんが、少なくとも提唱者が観察した個々の事象では共通する事象であると判断をされたわけです。もし「この観察した事象に一般則ではないことが含まれていた」なら仮説に立てるはずがないのです(これが「事実に反する」という言葉の内容です)。

もし、仮説提唱者以外がこの仮説が「事実に反する」という事柄を見出したら、それを提示してあげれば良いだけです(反証)。もし、仮説を提唱した者がその仮説から導かれるとした結論の論証に間違い(推論規則に反する論証)を見出したら、それを指摘すれば良いだけのことです。また、仮説が成り立つとする実証に間違い(誤った論証や不適当な例証)があったとしてもそれを指摘すれば良いことです。仮説の根拠を問うことに学問的意義は何もみいだせません。


仮説の根拠を問う」なら科学が用いる論理や数学の「排中律」、「ペアノの選択公理」、「連続体仮説」の根拠を問うてみてください。わかりやすい例をだせば、ニュートンの仮説「万有引力」の根拠を問うてみてください。その仮説に基づいて導かれることを仮説の根拠としてあげていることに気が付くでしょう。例をあげましょう。「リンゴが木から落ちる」です。これは「万有引力」の根拠ではありません。仮説「万有引力」によって「説明できることがら」です。ニュートンの仮説「万有引力」を「神の御業」とすることもできるわけで、これは根拠を見いだすことができないという事実に依拠しているのです。仮説に必要なもの(根拠ではない)は確からしさ(「確かなことに思える」)・自明さ(「わかりきったこと」)・無反証(「どうもそうであるらしい」)ということ(どれも「根拠」ではない)であり、断じて「根拠」(「だから(仮説が)成り立つのだ」というもの)ではありません。

 

結語 実証では新しい知見は得られない

 

「科学」は「絶対的真理」に基づいたものではないのです。「絶対的真理」に基づいているのは「神学」です。「実証が科学」だとするのは「科学は神学」だという主張です。こんな主張に耳を貸すわけにはいきません。「訓詁学」や「神学」の中はとても居心地が良いかもしれませんが、新しい知見はもたらしません。今まで気づかなかったことに気がつくことはあるかもしれませんが、それがせいぜいのことでしょう。

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